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レインボー・プラン
レインボー・プラン
レインボー・プランとは、アメリカ合衆国が、第二次世界大戦に備えて計画していた戦争計画である。
概要
1930年代後半、第二次世界大戦の機運が高まってくると、世界はナチス・ドイツを中心とする枢軸国と、イギリスを中心とする連合国に2極化しつつあった。そのため、それまで国家、もしくは国家連邦ごとに想定されていたカラーコード戦争計画は古くさいものとなり、元々実戦用のシミュレーションというよりも、将兵の訓練用に制定されたものであったこと、さらには新兵器である航空機の飛躍的進歩により、役に立たないものと化しつつあった。
そこで、まず国家相互の関係を整理したうえで、複数の国家と、アメリカが戦争状態になることを想定してレインボー・プランを策定、1939年6月に陸海軍統合会議で承認された。当時のフランクリン・ルーズベルト大統領はそれに先立ち、戦力の分散を嫌がる海軍の反対を押し切り、太平洋に配備されていた艦隊戦力の1/3を大西洋に回航させていた。
想定は1から7までの番号で分けられており、その内日本、ドイツ、イタリアの3か国(正確には、その先進3か国とそれに同調するやや規模の小さい国家)を仮想敵国とした。
- レインボー1はドイツが南米大陸に侵攻し、アメリカは単独で北アメリカ・中央アメリカ(西半球の南緯10度以北)を防衛するというもの。陸軍の要求に沿って策定された防衛計画。
- レインボー2はアメリカがイギリス、フランスと同盟を組み、枢軸国側と大西洋、太平洋の二正面で戦うもの。太平洋側の対日戦争を優先する、海軍の要求に沿っていた。
- レインボー3も海軍の要求に沿ったもので、1939年3月に改定されたばかりのオレンジ計画を踏襲し、アメリカ単独で対日戦争を行い西半球を防衛するというもの。
- レインボー4はレインボー1の防衛に加えて南米大陸も含めた西半球全体の防衛をはかるもので、陸軍の要求に沿ったもの。
- レインボー5はレインボー2での二正面戦で、大西洋側への攻勢を優先するもの。海軍作戦部長ハロルド・スタークの「プラン・ドッグ」メモ(Plan Dog memo)における、「ヨーロッパ優先戦略」(Europe first)に基づく。
日本、ドイツ、イタリアも不可分であったわけではなく、またはドイツとイギリスが同盟国となった場合の大西洋方面での開戦を想定したもの、カラーコード戦争計画時代のものを引き継いだイギリスを仮想敵としたもの、またソ連を仮想敵としたものも存在したと言われている。
政治色
計画そのものが対ナチ・対日戦に特化していたため、純軍事的なカラーコード戦争計画に比べると、フランクリン・ルーズベルト政権による特定の政治色を帯びていたといえる。戦争計画に軍事的要素以外の特定の政治勢力が絡むことによる弊害は、仮想敵国の項を参照されたい。このため、レインボー・プランの存在から、「かえってルーズベルト政権が第二次世界大戦を積極的に拡大し、太平洋戦争を誘発した」という批判が、アメリカの国内でも起こっている。特に、共和党は当時から日本やナチズム・ファシズムよりも共産主義勢力を方を危険視していたため、民主党寄りの評論家に対する攻撃材料としてしばしば用いられる。
事実、日本の軍事的鋭角化は親日・反中的な共和党政権のときよりも、反日・親中的な民主党政権のときが著しく、これは戦後(1954年の自衛隊創設以降)も変わっていない。
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