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日本抜きの統一外交で勝負に出た朴槿恵大統領
朴槿恵氏の「統一は大当たり論」が注目
朴槿恵政権が統一問題に舵を切ったのは昨年暮れから。まず、李明博前政権で機能を廃していた国家安全保障会議(NSC)の常設組織を復活させ、国民に向けては朴槿恵大統領が新年会見で「統一時代」の準備の必要性を直接、呼びかけた。
この演説で注目され、流行語になっているのが「統一はテバク(大当たり)だ」というひとことだ。「テバク」とは庶民的な口語で「大当たり!」「大もうけ!」といったニュアンス。朴氏は統一について、『資金ばかりを食い、韓国経済は失速する』と国民が忌避するムードを一変すべく、「統一こそチャンスだ」と訴えたのだ。アジア第4位の資本と技術力が北朝鮮の人的資源や天然資源と結びつけば、「統一は飛躍と活力の源泉になる」との主張だ。
この「大当たり論」は国民的な耳目を集め、直後の世論調査では大統領の「大当たり」発言を60%以上が支持。昨年40%台後半に低下していた朴槿恵氏への支持率は50%台に回復した。朴大統領の意向を受けて現在、韓国統一省が検討している対北事業「9大重点課題」には、非武装地帯の世界平和公園造成や羅津・ハサンの物流基地構想のほか、北朝鮮住民の生活向上のための共同農業事業や畜産業、山林業の協力など、まるで金大中・盧武鉉政権時代の「太陽政策」「包容政策」が戻ってきたような項目が並んでいる。
朴槿恵氏は大統領就任以前から対北政策「朝鮮半島信頼プロセス」を主張してきた。これは信頼醸成を基礎に秩序ある南北交流が主体だったが、「大当たり論」で一気に前向きに変わった観が強い。2月初旬に青瓦台(大統領府)で行われた統一政策に関する業務報告会議で朴大統領は「統一時代を開くには、国内、南北、国際の3次元的な準備が必要だ。韓国の外交安保部局すべてが統一の担い手になるべきだ」とげきを飛ばした。
北朝鮮有事も視野に「平和統一は今後4年が分水嶺」
「大当たり論」が注目されるなか、核問題の進展なしに南北協力のレベルを高めれば、「資金が核開発に流れる」と早くも懸念の声も出ている。また、国際社会が金正恩体制の核・ミサイル政策に深刻な憂慮を示しており、韓国だけが突出して南北協力を進めるのは困難との見方も根強い。
そんな環境のなかで朴政権が急激に統一政策に前のめりになった背景には、金正恩体制の急変事態が現実性を帯びたためと分析されている。
張成沢氏の粛清情報が外部に流れはじめたのは昨年11月末からだったが、北朝鮮権力層の異変については昨夏から関係国の情報当局が察知していた。韓国紙によれば、韓国だけでなく米国、中国、ロシア、国連などが兆候を察知しており、そうしたなかで朴政権は「統一の準備」の検討に入っていたという。いまや韓国政府の公式見解は「今後4年が韓半島の平和統一の分水嶺になるだろう」である。
「統一の夢」を試算するシミュレーションも花盛りだ。朴大統領の公約「ユーラシア・イニシアチブ」はユーラシア大陸の各国と北朝鮮の開放を誘導して欧州と朝鮮半島の物流事業を実現、大陸横断鉄道「シルクロードエクスプレス」を通そうとの構想。あるいは統一後、中国東北3省とロシア沿海州と日本を結ぶ産業ベルトが誕生すれば資本、技術、資源、労働力がそろい北東アジアの中核になるとの「北東ベルト地帯構想」もそうだ。
韓国政府は平和統一への国際コンセンサス作りのためこのほど、在ソウルに公館のあるの21カ国の大使らによる「韓半島クラブ」を立ち上げた。ただ、このクラブに日本は米国、中国と並んで入っていない。
「韓半島クラブは北朝鮮とも国交があり、ソウルの公館が南北の代表部を兼任するところだけだ。だからEU、カナダ、オーストリア、ニュージーランドなどで日本は該当しない」(韓国外交部)
韓国は中露両国とは核問題で安保理での連携を強化するといい、米国とは軍事同盟関係で対北牽制を強めるという。朴槿恵政権は北朝鮮問題でも「パートナーとしての日本」を視野に入れていないらしい。
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